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朧なる月の如く【1】

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 暗い。


 どうしてこんなにも暗いんだろう、今夜は朔ではないはずなのに。

 ぼんやりとした光はまったく視界の助けにならない、
 闇と混乱と、恐怖をはらうには弱すぎる。


 ―――ああ、これでは。


 たまらなくて振り仰いだ、そらの灯りは舞い上がる砂と、汗血にひどく霞んで。

 これでは駄目だ。見えない、見つけられない。
 焦燥に絶望に、眼は眩むばかり。



 ああ。

 どうか。
 どうか教えて。誰か。




 あのひと は。






May 21, 2006 | 12:49 PM

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