***

 
6.
笑顔
   

***

  

 
 **

 
  

 
   

 
    
 
    
他意は無いのだ。





紅い花が好きだと 薄い唇が何時か呟いて、

門前の花売りが偶々 紅薔薇あかそうびを抱えて居て、

何気も無しにつと 抜いて取った一輪の紅。





ふと正気に返れば、如何にも始末に困る是の代物。



うち捨てるよりはと、否、殆ど捨てたも同じものかと。

自嘲混じりに差し献ず刹那、見開いたの瞳の幼気は直ぐに、

艶めく口の端のいろに掻き消され。





「偶には――素直に感謝してやるとしようか?」






………他意など、無いのだ。


徒の益体も無い、成り行きの様なもので、

謂わば不可抗力とでも称すべきもの、特別な意味など在る筈も無い、決して。




けれど。





流し与えられる其の眼差しを。

常より聊かなりと淡く綻ぶ様な唇を。



何故だか正視する事が出来ない己を、認めぬ訳にはいかなかった。

 
     
    
    
 
   **

      
    
     

   
 
  


薔薇と曹丕。SSは司馬懿視点でどうぞ。
 
バレンタイン用にと日記に載せたもの、
珍しくも笑顔の公子様に司馬懿は内心うろたえればいいと思います。
 
まあ全然揶揄たっぷりな訳だが丕様ったら


  
   

  戻る